2015.06.27更新

 心不全とは心機能の異常により心臓が全身に十分な血液を拍出できなくなった状態をいいます。このため体循環血液量が減少しますが、心臓はこれを補おうとして頑張ります。その結果、心室の拡張期圧が上昇し、肺や体循環系にうっ血や浮腫の症状が現れます。犬では、加齢とともに僧房弁閉鎖不全による慢性心不全が増加します。これは心臓の左心房と左心室の間にある二枚の薄い弁(僧房弁)が粘液性変性によって肥厚し完全に閉鎖できなくなって心臓が収縮する際に全身に拍出されるべき血液の一部が左心房内に逆流することによる慢性の心不全です。初期症状としては心内雑音を聴取するのみですが、進行すると運動不耐性(運動を嫌がる)、運動時や夜間から朝方にかけての発咳(肺のうっ血、肺水腫)が認められるようになり、さらに進行すると呼吸困難を呈し、舌が紫色(チアノーゼ)になったり失神したりするようになります。マルチーズ、シーズー、ポメラニアン、プードル等が好発犬種といわれていますが、あらゆる犬種に発生する可能性のある後天性の心臓病です。根治的な治療方法は残念ながらありませんが早期発見することにより段階的な内科的治療で進行を遅らせることが可能です。

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投稿者: あぐり動物病院