2015.07.01更新

 高齢になると犬では慢性心不全が増加し、猫では慢性腎不全が増加します。理由は不明です。慢性腎不全とは数か月から数年にかけて徐々に腎機能が低下する疾患で末期には萎縮腎を形成する高齢猫では死因の上位を占める進行性の致死的な病気です。腎臓は代償能が高く、その機能は75%まで代償されるといわれています。代償能とは腎臓の機能単位である機能ネフロンの減少に伴い、残存ネフロンの1ネフロンあたりの糸球体濾過量が上昇することで腎機能を維持しようとする能力のことですが、これは健康なネフロンに過重の負担を強いることにもなります。つまり、多飲、多尿といった慢性腎不全の初期症状を認めた時にはすでに75%以上の腎機能が失われていることになります。病期が進行し、食欲不振、元気消失、毛づやの悪化、嘔吐、貧血等の全身症状が認められたときにはすでに90~95%の腎機能が失われていることになります。そして、残念ながら一旦失われた腎機能は回復することはありません。従って、慢性腎不全の治療はできるだけ早期に発見し、残っている正常な腎組織にできる限り負担をかけず保護、温存することが主眼になります。そのために大切なことは定期的な健康診断等による早期発見に努め、毎日の正しい食事療法から始め、腎不全のステージ(病気の進行度)に合わせた適切な薬物療法が大切になります。そうすることで病気の進行を遅らせることができます。

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投稿者: あぐり動物病院