2016.02.23更新

 ウイルスと言うと、いろいろな感染症の原因となる病原体としてよく知られた存在です。ウイルスは、細菌等とともに、微生物と呼ばれることがありますが実はウイルスは生物かどうかは怪しいのです。ウイルスは遺伝子を有し、他の細胞を利用して増殖できると言う生物の特徴を持っていますが、細胞をその構成単位としていないため非生物として位置づけられ、「生物学的存在」というような言い方をされる場合もあります。つまり、ウイルスは単独では増殖できず、他の細胞に寄生したときにのみ増殖でき、このことを偏性細胞内寄生性と言います。この点でいうと、ブドウ球菌や大腸菌といった細菌は必要な栄養素と環境があれば独自で増殖できることかられっきとした一人前の生物といえます。

 さて、ウイルスはいろいろな感染症の原因となりますが、風邪の原因もウイルス感染によるものです。風邪に対するお薬として抗生剤を処方することがありますが、実はウイルスに対しては抗生剤はまったく効果はありません。ウイルスの感染により鼻や気管支等の粘膜が荒れ、抵抗力が弱ることにより細菌二次的に感染、増殖します。このことにより鼻汁や痰が多くなった時に細菌の増殖を抑えるために抗生剤を処方します。ヒトのウイルス感染に対する治療薬として最近様々な抗ウイルス薬が開発されていますが、動物薬ではまだ直接ウイルスに効果が確立された抗ウイルス薬はありません。従って、特に風邪のような症状には対症療法を中心に治療し、本人の自己治癒力をサポートしてあげることが大切です。

 

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投稿者: あぐり動物病院