動物たちが話せない症状や様子について飼い主さまからしっかりうかがうことが、凛告です。獣医師が診察で一番重視すべきものが、「凛告を取る」ということだと考えています。同じような症状を表す病気の中には、できるだけ早く的確な治療を行わなければ生命にかかわるものもありますし、しばらくおとなしくしているだけで治ってしまうものもあり、また違う病気と間違えて治療すると症状を悪化させる可能性もあります。その症状を起こしている原因がなにかを探して、適した治療を行うために、凛告は不可欠なものなのです。動物病院においでになる際には、その動物のことをしっかり獣医師に伝えることができる方にお連れいただくことで、的確な診断の大きな助けになります。

経済事情がなかなか改善しない社会状況の中で、動物の医療費の高さに治療をあきらめてしまうご高齢の方がいるというお話をうかがったことがあります。確かに、最新機器による検査や高額な医薬品、ICU入院などが重なると治療費用が数十万円を超えてしまうことはありますが、そうした高額な治療でなくとも、苦しい症状を緩和して、できる限りおだやかに過ごさせてあげることは可能な場合が多いのです。治療費についてご不安がある場合には、どうぞご相談ください。飼い主さまと動物にとってよりよいサポートが行えるようできる限りの選択肢をご提案します。

当院では、動物たちができるだけ最期まで飼い主さまといっしょにいられることを診療方針にしています。これは、動物に限らず、自分のこととして考えても、チューブにつながれて、なじみのない場所で最期を迎えることにどうしても違和感をぬぐえないことからきています。残された大切な時間を、できるだけストレスなく、飼い主さまといっしょに過ごしてほしいと思っています。
また、他院であれば入院をおすすめするような場合でも、できるだけご自宅で過ごせるように努めています。動物たちにとって動物病院は見知らぬ場所です。信頼する飼い主さまのいない、そうした場所で過ごすことは、具合の良くない動物たちにとって大きなストレスです。ご自宅で飼い主さまといっしょにいることで、回復が早くなることはよくありますし、病院ではぐったりしていたのに帰ったとたん元気がでてくる動物も多いのです。もちろん、獣医師が一晩見守る必要がある場合には入院していただいていますが、そういうケースはあまり多くありません。往診も行っておりますので、病院通いがストレスになりそうな場合にはご相談ください。
また、飼い主さまによっては、「人間が受けるのと同等の高度な治療をしてあげたい」とお考えの方もおられると思います。当院では、そういった場合、信頼できる高度医療機関やドクターをご紹介しています。

院長 苗加 勝則 ノウカカツノリ

• 山口大学大学院農学研究科獣医学専攻修了
• 卒業後は、久光製薬、ファルアシア㈱(現・ファイザー製薬)で研究開発の仕事に携わる。
• 2000年　神戸市の動物病院で獣医師としての研鑽を積む
• 2004年2月14日　あぐり動物病院開設