2015.06.17更新

 フィラリアは蚊が媒介する感染症です。フィラリアに感染している犬の血液を蚊が吸血する際にミクロフィラリアを一緒に吸引し、蚊の体内で感染幼虫に成長します。その蚊が他の犬の血液を吸引する際に感染幼虫が取り込まれ、犬の体内を移動しながら成長し、肺や心臓で成虫になります。成虫は糸状で長さは、雌で28cm、雄で17cmにもなります。フィラリア症になると、運動不耐性(運動を嫌がる)、発咳、元気食欲の低下等の症状がみられます。重症化すると、後大静脈塞栓症(ベナケバ症候群)をおこし、血尿を伴うショック状態になって、突然死にいたります。フィラリア症の治療には内科的、外科的方法がありますが、いずれも犬にとってかなり負担の大きいものになります。古典的な外科的治療法として頸静脈から長い専用の鉗子を心臓まで入れてフィラリアを釣り出す方法(フィラリア釣り出し術)がありますが、今、この治療法を自信をもって安全に行える獣医師は果たして何人いるか・・・・・。ちなみに釣り出したフィラリアは1匹、2匹ではなく1隻、2隻と数えます。いずれにしても、フィラリアは予防することが第一です。フィラリアの予防薬はいろいろなタイプのものがありますが、体内に侵入した感染幼虫を成虫になる前に駆除するタイプが一般的です。蚊の発生時期に従って一定期間、定期的に予防薬を投与することで確実に予防できます。関東では5月中旬から投与を開始し、12月中旬を最後にその年の予防が完了します。

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投稿者: あぐり動物病院