2015.07.27更新

 腎臓、尿管、膀胱および尿道のどこかに結石ができた状態を尿路結石症といいます。結石の成分は多種多様ですが、代表的なものにストロバイト、シュウ酸カルシウムがあります。これらは、尿検査でその結晶を顕微鏡で観察することで多くの場合診断することができます。尿路に結石が形成されると結石自体の物理的刺激によって尿路に炎症が引き起こされます。その結果、頻尿、血尿などの症状が現れます。尿道に結石が詰まると尿が排出できなくなり膀胱破裂あるいは腎不全を起こして死に至る場合もあります。したがって、尿閉(おしっこが出なくなる状態)は緊急事態と考えなければなりません。特に猫のオスは尿道が細く、ペニス先端部分では結石になる前の結晶でも粘土のような状態で閉塞を起こすことがあります。結石を形成してしまった場合には外科的に膀胱切開することにより取り出すしかありませんが、症状のないうちに尿検査で結晶を確認できれば、食事療法でほとんどの場合尿石症を予防することができます。ただし、食事療法は継続することが大切で、中止すると高い確率で再発することが知られています。このことから、尿石症は病気というよりも一般の犬、猫にとって理想的もしくは十分と考えられるフードが合わない体質なのだと考えられます。

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投稿者: あぐり動物病院

2015.07.09更新

 外耳とは、耳介と外耳道からなり鼓膜に音を伝える集音器の役割をはたします。外耳炎は急性あるいは慢性の外耳道上皮の炎症を主徴とする疾患で耳介にまで及ぶこともあります。症状としては発赤、痒み、耳垢の蓄積、膿汁の排せつや悪臭などがみられます。症状が進行すると外耳道がただれた状態になり、痛みのため触らせてくれなくなると、耳洗浄のたびに全身麻酔が必要になったりして治療に困難を伴うようになります。外耳炎に伴って、犬では耳血腫(耳介の血管が切れることにより内出血をおこし耳介が膨れ上がる状態)を起こしやすくなります。これは犬が耳道内の痒みのため頭部を頻繁に激しく振るためと考えられます。一方、猫では後肢で耳介を引っ掻くことにより耳介に潰瘍ができやすくなります。

 外耳炎の原因は、外耳道に蓄積した耳垢に細菌や酵母が繁殖し、耳道粘膜に感染が成立したもの、その他、耳疥癬(ダニ)の感染によるもの、アレルギーによるものなど様々あり、治療方法は原因によて異なります。しかし、いずれの原因による外耳炎も耳道内を清潔に保つことが治療と予防の基本となります。一般に耳の立っている種類の動物は風通しが良く耳道内が蒸れにくいため外耳炎の発症率は低くなります。逆に耳の立っていない、犬ではダックスフンド、プードル、シーズー、ビーグルなどの犬種、猫ではスコテッシュフォールドなどでは適切な耳洗浄を定期的に行わないと高確率で外耳炎を発症します。

 

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2015.07.01更新

 高齢になると犬では慢性心不全が増加し、猫では慢性腎不全が増加します。理由は不明です。慢性腎不全とは数か月から数年にかけて徐々に腎機能が低下する疾患で末期には萎縮腎を形成する高齢猫では死因の上位を占める進行性の致死的な病気です。腎臓は代償能が高く、その機能は75%まで代償されるといわれています。代償能とは腎臓の機能単位である機能ネフロンの減少に伴い、残存ネフロンの1ネフロンあたりの糸球体濾過量が上昇することで腎機能を維持しようとする能力のことですが、これは健康なネフロンに過重の負担を強いることにもなります。つまり、多飲、多尿といった慢性腎不全の初期症状を認めた時にはすでに75%以上の腎機能が失われていることになります。病期が進行し、食欲不振、元気消失、毛づやの悪化、嘔吐、貧血等の全身症状が認められたときにはすでに90~95%の腎機能が失われていることになります。そして、残念ながら一旦失われた腎機能は回復することはありません。従って、慢性腎不全の治療はできるだけ早期に発見し、残っている正常な腎組織にできる限り負担をかけず保護、温存することが主眼になります。そのために大切なことは定期的な健康診断等による早期発見に努め、毎日の正しい食事療法から始め、腎不全のステージ(病気の進行度)に合わせた適切な薬物療法が大切になります。そうすることで病気の進行を遅らせることができます。

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