2016.03.31更新

 40年前、精神科医マイク・ラッセルが「人は、ニコチンを求めてタバコを吸い、タールによって死亡する」と書いた。つまり、体に害を及ぼすのは喫煙行為とタールであり、ニコチンではないということだ。もちろん、日本薬局方においてはニコチンは劇薬に指定されていて、子供のたばこの誤嚥による死亡事故も報告されており、大量摂取による急性毒性は、明らかなところである。しかしながら、最近イギリスを中心とした欧米で、ニコチンの人体に対する影響についての研究が数多くなされている。アルツハイマー病の予防、パーキンソン病や多動性障害の症状緩和、感覚情報処理機能の向上などに効果が認められる等の報告がなされている。しかし、いずれもそれらの特効薬として認められているわけではない。これらの研究の背景には、欧米で定着しつつある電子タバコの普及を目的とする意図もあると思われる。これらは、ニコチン依存自体はある程度許容し、喫煙によるタールを排除すると言う製品である。今のところ人体とニコチンの関係に白黒つけることはできないが、明らかに依存性のある薬物であることは間違いない。したがって、明らかな害が認められないにしろニコチンを含有する電子タバコもはまってしまうと辞められなくなるのは間違いなさそうだ。

 

ペットに関することは中原区、武蔵小杉駅徒歩7分のあぐり動物病院までお気軽にご相談ください。

投稿者: あぐり動物病院