2015.06.27更新

 心不全とは心機能の異常により心臓が全身に十分な血液を拍出できなくなった状態をいいます。このため体循環血液量が減少しますが、心臓はこれを補おうとして頑張ります。その結果、心室の拡張期圧が上昇し、肺や体循環系にうっ血や浮腫の症状が現れます。犬では、加齢とともに僧房弁閉鎖不全による慢性心不全が増加します。これは心臓の左心房と左心室の間にある二枚の薄い弁(僧房弁)が粘液性変性によって肥厚し完全に閉鎖できなくなって心臓が収縮する際に全身に拍出されるべき血液の一部が左心房内に逆流することによる慢性の心不全です。初期症状としては心内雑音を聴取するのみですが、進行すると運動不耐性(運動を嫌がる)、運動時や夜間から朝方にかけての発咳(肺のうっ血、肺水腫)が認められるようになり、さらに進行すると呼吸困難を呈し、舌が紫色(チアノーゼ)になったり失神したりするようになります。マルチーズ、シーズー、ポメラニアン、プードル等が好発犬種といわれていますが、あらゆる犬種に発生する可能性のある後天性の心臓病です。根治的な治療方法は残念ながらありませんが早期発見することにより段階的な内科的治療で進行を遅らせることが可能です。

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投稿者: あぐり動物病院

2015.06.24更新

 犬、猫の消化管には様々な寄生虫が感染します。虫卵が直接口に入ることによって感染する回虫、鉤虫、鞭虫、中間宿主を介して経口感染する回虫(ネズミ、ゴキブリ、ミミズ)、多包条虫(野ネズミ)、瓜実条虫(ノミ)、皮膚から感染する鉤虫、また母親から胎盤または母乳を介して感染する回虫、鉤虫などが知られています。しかしながら、いずれも犬猫にとっては比較的病原性は低く、栄養状態の良い飼い犬、飼い猫に深刻な健康被害を引き起こすことは少ないといわれています。一方、これら犬、猫の内部寄生虫の中には人にも感染するものがあり、これを人畜共通感染症といいます。犬、猫の寄生虫にとって人の体は決して住みやすい環境とは言えず、快適な環境を求めて体内を移動したり、嚢胞と呼ばれる住み家を作ったりします。この結果、人に対して時として生命に関わるような深刻な健康被害を引き起こすことが知られています。最近は、ペットを家族の一員として人と同じように接することから、人とペットの距離が近くなっているといわれています。これは、ペットからの内部寄生虫の感染リスクを高めることになります。また、ハイハイをしていたりおもちゃを口に持っていくような乳幼児は感染リスクが高いと考えられます。そういったリスクを下げるために、内部寄生虫を定期的に駆除する定期駆虫という考え方が推奨されています。

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投稿者: あぐり動物病院

2015.06.17更新

 フィラリアは蚊が媒介する感染症です。フィラリアに感染している犬の血液を蚊が吸血する際にミクロフィラリアを一緒に吸引し、蚊の体内で感染幼虫に成長します。その蚊が他の犬の血液を吸引する際に感染幼虫が取り込まれ、犬の体内を移動しながら成長し、肺や心臓で成虫になります。成虫は糸状で長さは、雌で28cm、雄で17cmにもなります。フィラリア症になると、運動不耐性(運動を嫌がる)、発咳、元気食欲の低下等の症状がみられます。重症化すると、後大静脈塞栓症(ベナケバ症候群)をおこし、血尿を伴うショック状態になって、突然死にいたります。フィラリア症の治療には内科的、外科的方法がありますが、いずれも犬にとってかなり負担の大きいものになります。古典的な外科的治療法として頸静脈から長い専用の鉗子を心臓まで入れてフィラリアを釣り出す方法(フィラリア釣り出し術)がありますが、今、この治療法を自信をもって安全に行える獣医師は果たして何人いるか・・・・・。ちなみに釣り出したフィラリアは1匹、2匹ではなく1隻、2隻と数えます。いずれにしても、フィラリアは予防することが第一です。フィラリアの予防薬はいろいろなタイプのものがありますが、体内に侵入した感染幼虫を成虫になる前に駆除するタイプが一般的です。蚊の発生時期に従って一定期間、定期的に予防薬を投与することで確実に予防できます。関東では5月中旬から投与を開始し、12月中旬を最後にその年の予防が完了します。

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投稿者: あぐり動物病院

2015.06.12更新

 狂犬病は犬を飼っている人にとっては馴染みのある病名ではないでしょうか。狂犬病予防法によって毎年春に予防接種することが飼い主に義務づけられています。しかし、狂犬病については案外知らないことも多いのではないでしょうか。

 狂犬病は、狂犬病ウイルスによる感染症です。潜伏期間は感染部位により2週間から2年以上と様々ですが、いったん発症すると治療法はなく、2から7日で死に至る大変恐ろしい病気です。最近、韓国で流行しているMERS(中東呼吸器症候群)は致死率40%、エボラ出血熱は70~80%だと報道されていますが狂犬病はまさしく致死率100%で史上最強(悪?)のウイルスなのです。また、狂犬病ウイルスはすべての哺乳類に感受性があり、アジアではほとんどの場合犬が感染源(犬による咬傷)ですが世界的にみるとネコやアライグマ、コウモリ、キツネなどの野生動物も感染源となります。ただし、飛沫感染はなく、動物による咬傷が主な原因となるのでMERSやエボラ出血熱のような爆発的な流行になることはありません。しかし現在、狂犬病が発生していない地域(狂犬病清浄地域)は、日本、英国(グレートブリテン島およびアイルランドに限る)および北欧とオセアニアの一部のみでその他の地域では感染が確認されており毎年5万人以上の人が死亡していなす。

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2015.06.06更新

イヌ、ネコのノミ予防薬には様々な製品がありますが、動物病院で取り扱っている製品は大きく分けてスッポットオンタイプ(背中に液体を滴下するタイプ)と経口剤(チュアブルタイプ、錠剤)の2種類があります。それぞれ若干の違いはありますが、いずれも殺虫的な効果があります。つまり、ノミを実験的に寄生させた後、スポットオンタイプを滴下すると約24時間で、経口剤では数時間で全てのノミが駆除(殺虫)できると言われています。そして、その効果は一か月程度持続します。僕たちがキャンプや山歩きするときに使う防虫スプレーなどは虫が嫌がる成分等で虫を寄せ付けない(忌諱効果)で虫刺されを防ぐことを目的にしていますが、イヌ、ネコのノミ予防薬にはこの忌諱効果はありません。したがって、ノミは、予防薬を使用していてもイヌ、ネコに寄生しますが、すぐに駆除(殺虫)されることになります。つまり、予防薬を投与しているイヌ、ネコは家庭環境中のノミ取りイヌ、ノミ取りネコになってくれるのです。ノミ予防は、イヌ、ネコの為だけに行っていると考えている方が多いのですが、実は家庭環境のノミも駆除し、家族を守ることになるのです。

ノミ予防、その他ペットの関する事は、中原区、武蔵小杉駅徒歩7分のあぐり動物病院にお気軽にご相談ください。

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2015.06.01更新

 マダニは、クモ網ダニ目マダニ亞目マダニ科の節足動物です。

 「ダニ」と言うと家の畳や絨毯あるいは布団の中に生息し、アレルギーのもとになる奴を連想する方も多いと思いますがマダニとダニは全く別の生き物です。マダニはダニに比べて非常に大きく吸血前でも2~3mm程度あって肉眼でもはっきり見える大きさです。動物に寄生して吸血をすると体重が100倍以上になるものもいます。十分な吸血をしたマダニは大きくなり昆虫を思わせる形態は失われ、何かイボのようなできもののように見えます。マダニはイヌ(バベシア症、ライム病など)やネコ(ヘモバルトネラ症、Q熱など)に様々な病気を媒介します。その疾患の中には、ヒトにも感染する人畜共通感染症も含まれます。また、近年マダニによるヒトの感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」による死亡例が報告されています。マダニは人里離れた山奥だけでなく、都会の身近な公園や小川の草むらにも数多く生息しています。動物たちはもちろんですが人のためにもマダニ予防は大切です。

 マダニの予防対策、その他ペットに関する事は中原区・武蔵小杉駅徒歩7分のあぐり動物病院までお気軽にご相談下さい。

投稿者: あぐり動物病院