2016.01.26更新

 先日、九州の男性がカフェイン中毒で死亡、日本で初めてとの報道がありました。死亡した男性は「眠気覚ましのため」として複数のカフェイン入り清涼飲料水とともにカフェインを含む錠剤を大量に摂取していたそうです。毒性学的には全ての物質は短期間に多量を摂取すれば死に至ることは定説です。カフェインの場合、コーヒーに換算すると約100杯を一気飲みすれば致死量に達するようですが、それにしてもどんだけー飲んだんだと思います。毒性の強い物質はなんかの拍子に誤って飲んでしまう危険があるので注意が必要がありますが、コーヒー100杯の一気飲みにはかなりの根性が必要だと思います。因みに、食塩の致死量から計算すると醤油一升を一気飲みすれば死ねるし、酒に関しては個人差がかなりありますが、エタノールの致死量から計算すると二升程度を一気飲みすれば大抵の人は死ねることになります。しかしながら、醤油にしろ、酒にしろ一気に大量にのむと大抵の人は嘔吐してしまい、確実に死ねるかは定かではありません。

 犬の身近な中毒で有名なものに「チョコレート中毒」があります。これはチョコレートに含まれるテオブロミンによる中毒で、カカオ成分が多いほど中毒になりゃすく、ミルクチョコよりダークチョコのほうが毒性が強くなります。しかしながら、体重5Kgの犬が中毒症状を発現するのに1個10円のチロルチョコ換算で約50個、テオブロミンの致死量から計算すると犬が「チロルチョコレート自殺」を図るには150個以上の一気食いが必要となります。したがって、小さなお子さんが食べ残した程度のチョコレートを食べても現実的には問題になることはほとんどありません。

 

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投稿者: あぐり動物病院

2016.01.06更新

 明けましておめでとうございます。

 今年も、例年通り田舎の富山に帰省しのんびりさせてもらいましたが、雪もなく異常気象といえるほど暖かな正月でした。元旦には、これまた例年通り母方の実家に年始の挨拶に行きました。その家には豆柴のモモちゃんがいます。以前は、おやつをあげるときに「まて」をかけ、「よし」まで我慢できるのみならず、「よ ・・・し子さんの」フェイントにも対応していた賢いモモちゃんでしたが、寄る年波には勝てずすっかり年老いて認知症も進行していました。一人でサークルの中にいると不安げにくるくると同じところを徘徊し悲しげな鳴き声をはするのですが、誰かが抱っこしてあげると実に安心しきってすやすやと眠ります。抱っこや、添い寝で認知症の犬の夜泣きがやむことは知っていましたが、本当に効果的であることを実感しました。一年に一度しか会えないモモちゃんですが、その安心しきった眠り顔を見るとまだまだがんばれと、何か手を合わせたくなるような気持になりました。人と同様にペットも高齢化が進み介護に関する問題が増えてくると思われます。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

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投稿者: あぐり動物病院

2015.12.12更新

 病院の名前からあぐり先生と呼ばれることが多いのですが、僕の名前は「あぐり」ではなく「苗加」といいます。しかしながらこれをすんなりと「のうか」と読める人はそう多くはないのではないかと思います。因みにパソコンでも一発変換できませんし、全国でも、250所帯程度しかない、なかなかの珍名なのです。

 開業の時に「苗加動物病院」だと読めない人が多いだろうし、「のうか動物病院」だと「農家動物病院」をイメージして牛や豚の診療を頼まれることがあるのではないかとなどと考えているときにふと思い出したのが平成9年のNHK朝の連ドラ「あぐり」でした。このドラマの主人が「吉行あぐり」さんという実在の人物で、作家の吉行淳之介の母親で、東京であぐり美容室を開業し、日本で初めてパーマネントを広めた人だそうです。そのドラマの中で「あぐり」という名前の由来が語られています。英語のアグリカルチャー(Agriculture)からきており、大地にしっかり根を張ってしっかりとした人生を送ってほしという願いを込めて「あぐり」と名づけられたそうです。

 そこで、苗加➡のうか➡農家➡農業➡アグリカルチャー➡あぐり の連想で「あぐり動物病院」が誕生しました。まあ、後半の連想は明らかにNHK朝の連ドラからのパクリといえます。でも、まじめに、しっかりやっていくという思いはしっかり持ち続けたいと思っていますので、ご容赦のほどをお願いします。

 

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投稿者: あぐり動物病院

2015.10.27更新

 周りの人が吸うたばこの煙にさらされることを受動喫煙といいます。先日、家族の喫煙によって子供が虫歯になる危険性が2倍になるという研究結果が発表されました。

 元々、喫煙は肺がんを始めとする様々な病気の原因、誘因または悪化要因と考えられており、健康に対しては百害あって一利なしが定説となっているので、「虫歯よお前もか」ぐらいで特に驚きの結果ではないのかもしれません。しかしながら、喫煙者本人ではなくその家族である子供の虫歯を増やすというところが罪深いと思われます。

 煙草のようないわゆる嗜好品は色々ありますが最近、科学的あるいは疫学的に健康に対する影響が調べられるようになってきました。緑茶は飲めば飲むほど健康に良いという結果がたくさん報告されており、一時、健康にはあまり良くないのではないかと思われていた珈琲も糖尿病に予防的に働いているのではないかという報告がされています。酒に関しては「過ぎたるは及ばざるがごとし」は各自経験上ご存知のことと思いますが、適量を守れば「百薬の長」であるとのエビデンスは多数報告されています。但し、妊婦に対しては適量というものはなく、少量でも胎児に悪影響をもたらすとして、米国小児学会が一切の飲酒をしないようにと、つい先日勧告しました。

 いずれにしろ、長く愛されてきた嗜好品は改めて調べてみると何かしら有難いご利益があることがわかる場合が多いようなのですが、煙草に限ってはどうやらそのようなものは一切なさそうです。今後、煙草に何らかのご利益が見つかったとしても、発がん物質を始めとする有害物質てんこ盛りの煙草の煙の有害性を上回ることはないと思われます。その有害性はペット達にとっても変わるものではありません。

 

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投稿者: あぐり動物病院

2015.10.20更新

今、獣医師というとほとんどの人は町の動物病院の先生、犬や猫を診る獣医師を連想されると思います。しかしながら、これは昨今のペットブームによるもので、時代によって色々変遷がありました。戦国時代にまでさかのぼらなくても(戦国時代に獣医師という職業があったかは定かではありませんが)すくなくとも先の太平洋戦争までは獣医師の最も重要な診療対象動物は馬つまりは軍馬でした。言われてみれば然も有りなんですがちょっと意外感もありますね。

その後、酪農が発達するとともに、牛、豚、鶏などの所謂、産業動物が主な対象動物となりました。僕が学生時代には授業の対象は主に産業動物だったし、卒業後小動物臨床を目指すものは1割程度でした。産業動物が対象ということは個別の動物を治療するというよりは公衆衛生といった観点から動物を群れとして扱います。何年か前に発生した牛の口蹄疫や、繰り返される鶏のインフルエンザなどの流行を抑えるために一定地域の動物を殺処分するということも行われます。

一方、ペットを対象とする診療では個々の動物の病気と向き合うことになります。特に最近ではペットを家族の一員と考え人と同じような医療を求める人が増えています。時代とともに獣医師に求められるニーズも変化しますが、これに適切に対応していくことが重要だと思っています。

 

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投稿者: あぐり動物病院

2015.07.27更新

 腎臓、尿管、膀胱および尿道のどこかに結石ができた状態を尿路結石症といいます。結石の成分は多種多様ですが、代表的なものにストロバイト、シュウ酸カルシウムがあります。これらは、尿検査でその結晶を顕微鏡で観察することで多くの場合診断することができます。尿路に結石が形成されると結石自体の物理的刺激によって尿路に炎症が引き起こされます。その結果、頻尿、血尿などの症状が現れます。尿道に結石が詰まると尿が排出できなくなり膀胱破裂あるいは腎不全を起こして死に至る場合もあります。したがって、尿閉(おしっこが出なくなる状態)は緊急事態と考えなければなりません。特に猫のオスは尿道が細く、ペニス先端部分では結石になる前の結晶でも粘土のような状態で閉塞を起こすことがあります。結石を形成してしまった場合には外科的に膀胱切開することにより取り出すしかありませんが、症状のないうちに尿検査で結晶を確認できれば、食事療法でほとんどの場合尿石症を予防することができます。ただし、食事療法は継続することが大切で、中止すると高い確率で再発することが知られています。このことから、尿石症は病気というよりも一般の犬、猫にとって理想的もしくは十分と考えられるフードが合わない体質なのだと考えられます。

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投稿者: あぐり動物病院

2015.07.09更新

 外耳とは、耳介と外耳道からなり鼓膜に音を伝える集音器の役割をはたします。外耳炎は急性あるいは慢性の外耳道上皮の炎症を主徴とする疾患で耳介にまで及ぶこともあります。症状としては発赤、痒み、耳垢の蓄積、膿汁の排せつや悪臭などがみられます。症状が進行すると外耳道がただれた状態になり、痛みのため触らせてくれなくなると、耳洗浄のたびに全身麻酔が必要になったりして治療に困難を伴うようになります。外耳炎に伴って、犬では耳血腫(耳介の血管が切れることにより内出血をおこし耳介が膨れ上がる状態)を起こしやすくなります。これは犬が耳道内の痒みのため頭部を頻繁に激しく振るためと考えられます。一方、猫では後肢で耳介を引っ掻くことにより耳介に潰瘍ができやすくなります。

 外耳炎の原因は、外耳道に蓄積した耳垢に細菌や酵母が繁殖し、耳道粘膜に感染が成立したもの、その他、耳疥癬(ダニ)の感染によるもの、アレルギーによるものなど様々あり、治療方法は原因によて異なります。しかし、いずれの原因による外耳炎も耳道内を清潔に保つことが治療と予防の基本となります。一般に耳の立っている種類の動物は風通しが良く耳道内が蒸れにくいため外耳炎の発症率は低くなります。逆に耳の立っていない、犬ではダックスフンド、プードル、シーズー、ビーグルなどの犬種、猫ではスコテッシュフォールドなどでは適切な耳洗浄を定期的に行わないと高確率で外耳炎を発症します。

 

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投稿者: あぐり動物病院

2015.07.01更新

 高齢になると犬では慢性心不全が増加し、猫では慢性腎不全が増加します。理由は不明です。慢性腎不全とは数か月から数年にかけて徐々に腎機能が低下する疾患で末期には萎縮腎を形成する高齢猫では死因の上位を占める進行性の致死的な病気です。腎臓は代償能が高く、その機能は75%まで代償されるといわれています。代償能とは腎臓の機能単位である機能ネフロンの減少に伴い、残存ネフロンの1ネフロンあたりの糸球体濾過量が上昇することで腎機能を維持しようとする能力のことですが、これは健康なネフロンに過重の負担を強いることにもなります。つまり、多飲、多尿といった慢性腎不全の初期症状を認めた時にはすでに75%以上の腎機能が失われていることになります。病期が進行し、食欲不振、元気消失、毛づやの悪化、嘔吐、貧血等の全身症状が認められたときにはすでに90~95%の腎機能が失われていることになります。そして、残念ながら一旦失われた腎機能は回復することはありません。従って、慢性腎不全の治療はできるだけ早期に発見し、残っている正常な腎組織にできる限り負担をかけず保護、温存することが主眼になります。そのために大切なことは定期的な健康診断等による早期発見に努め、毎日の正しい食事療法から始め、腎不全のステージ(病気の進行度)に合わせた適切な薬物療法が大切になります。そうすることで病気の進行を遅らせることができます。

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2015.06.27更新

 心不全とは心機能の異常により心臓が全身に十分な血液を拍出できなくなった状態をいいます。このため体循環血液量が減少しますが、心臓はこれを補おうとして頑張ります。その結果、心室の拡張期圧が上昇し、肺や体循環系にうっ血や浮腫の症状が現れます。犬では、加齢とともに僧房弁閉鎖不全による慢性心不全が増加します。これは心臓の左心房と左心室の間にある二枚の薄い弁(僧房弁)が粘液性変性によって肥厚し完全に閉鎖できなくなって心臓が収縮する際に全身に拍出されるべき血液の一部が左心房内に逆流することによる慢性の心不全です。初期症状としては心内雑音を聴取するのみですが、進行すると運動不耐性(運動を嫌がる)、運動時や夜間から朝方にかけての発咳(肺のうっ血、肺水腫)が認められるようになり、さらに進行すると呼吸困難を呈し、舌が紫色(チアノーゼ)になったり失神したりするようになります。マルチーズ、シーズー、ポメラニアン、プードル等が好発犬種といわれていますが、あらゆる犬種に発生する可能性のある後天性の心臓病です。根治的な治療方法は残念ながらありませんが早期発見することにより段階的な内科的治療で進行を遅らせることが可能です。

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2015.06.24更新

 犬、猫の消化管には様々な寄生虫が感染します。虫卵が直接口に入ることによって感染する回虫、鉤虫、鞭虫、中間宿主を介して経口感染する回虫(ネズミ、ゴキブリ、ミミズ)、多包条虫(野ネズミ)、瓜実条虫(ノミ)、皮膚から感染する鉤虫、また母親から胎盤または母乳を介して感染する回虫、鉤虫などが知られています。しかしながら、いずれも犬猫にとっては比較的病原性は低く、栄養状態の良い飼い犬、飼い猫に深刻な健康被害を引き起こすことは少ないといわれています。一方、これら犬、猫の内部寄生虫の中には人にも感染するものがあり、これを人畜共通感染症といいます。犬、猫の寄生虫にとって人の体は決して住みやすい環境とは言えず、快適な環境を求めて体内を移動したり、嚢胞と呼ばれる住み家を作ったりします。この結果、人に対して時として生命に関わるような深刻な健康被害を引き起こすことが知られています。最近は、ペットを家族の一員として人と同じように接することから、人とペットの距離が近くなっているといわれています。これは、ペットからの内部寄生虫の感染リスクを高めることになります。また、ハイハイをしていたりおもちゃを口に持っていくような乳幼児は感染リスクが高いと考えられます。そういったリスクを下げるために、内部寄生虫を定期的に駆除する定期駆虫という考え方が推奨されています。

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投稿者: あぐり動物病院

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